【美容室開業】物件取得費用の内訳は?契約に必要な費用を徹底解説

事業計画

美容室開業の物件取得に係る費用の概要

美容室を開業する際、物件の取得には様々な費用がかかります。物件を借りる場合主な費用項目は以下の通りです。

保証金または敷金、礼金、賃料保証会社への初回保証料、前払賃料、火災保険料。

物件の取得に加えて、内装工事費やその他開業に係る費用も別途必要となります。適切な開業資金計画が重要です。

 

物件取得に係る費用の内訳

賃借物件の場合の初期費用内訳をみていきましょう。

– 前払賃料

賃料発生日から当月末までの賃料になります。賃料は通常前払いのため、契約時に支払う必要があります。フリーレントがついている場合には前払賃料は発生しません。

賃借物件の場合、毎月支払う賃料が最も大きな固定費用となります。賃料の水準は物件の立地や広さ、建物の築年数などによって大きく異なります。

一般的に、美容室の賃貸物件では以下の賃料体系が採用されています。

賃料体系

説明

定額制

広さに関わらず一定の金額が賃料となる

売上歩合制

売上高に一定の歩合を乗じた金額が賃料となる

商業施設などで採用されているケースが多い

物件の立地条件や設備、権利金の有無などにより、最適な賃料体系は異なります。複数の物件を比較検討し、開業後の収支シミュレーションを行うことが重要です。

– 保証金または敷金

賃貸物件の契約では、保証金の支払いが一般的です。保証金または敷金とは、家賃などの債務の担保や原状回復のための費用として貸主が預かるお金のことです。退去時に原状回復費用等から差し引かれた残額が返金される、一時的な預け金のことを指します。

保証金の金額は、賃料の何か月分という形で設定されることが多く、その月数は物件の立地やグレード、契約期間などによって異なります。一般的には、都心の物件で8~12か月分程度、郊外で6か月分程度が目安とされています。

例えば、月額賃料が10万円の物件で、保証金が8か月分と定められている場合、次のように計算されます。

項目

金額

月額賃料

100,000円

保証金(6か月分)

800,000円

保証金には、流動化できる現金が一時的に拘束されるデメリットがありますが、契約の債務不履行リスクに備える意味合いがあり、物件オーナー側にも安心感をもたらします。また、退去時の原状回復費用を賄うという目的もあります。保証金額は、契約条件によって変動しますので、あらかじめ十分確認しておくことが重要です。

– 礼金

礼金とは、賃借物件を借りる際に、新規で契約する際の一時金として支払う金銭のことです。契約時に一回限りの支払いとなります。金額は賃料の1ヶ月分程度から数ヶ月分まで、物件の立地条件や賃料水準によって異なります。

例えば、月々の賃料が10万円の物件で、礼金が2ヶ月分とした場合、以下のように計算されます。

項目

金額

月々の賃料

100,000円

礼金(2ヶ月分)

200,000円

このように、礼金は賃借物件の立地や賃料水準に応じて決まり、返金はありません。物件探しの際は、礼金の有無と金額を確認し、開業資金に計上する必要があります。

– 仲介手数料

賃貸物件を借りる際に、不動産会社などの仲介業者に支払う手数料です。一般的に、新規の賃貸借契約時に賃料の1か月分相当額が請求されます。

例えば、月額賃料が10万円の物件を借りる場合、仲介手数料は10万円となります。

月額賃料

仲介手数料

10万円

10万円(税別)

仲介手数料は、物件の斡旋・案内や契約手続きの代行・重要事項説明などに対する報酬となります。

物件探しの際は、手数料の金額を確認してから申込みましょう。

– 保証会社手数料

最近では、賃貸物件を借りる際、貸主から賃料保証会社を利用することが求められるケースが増えてきています。

保証会社は、借り手の賃料支払いや原状回復義務などについて一定の保証を行います。その対価として、保証会社に対して以下のような手数料の支払いが必要となります。

手数料の種類

金額の目安

初回保証料

賃料の50~100%相当額

年保証料

1万円前後、賃料10%と幅広い

保証委託手数料は、契約時に一括で支払うことが多いです。年保証料は毎年の支払いが必要となり、契約が継続する限り発生します。美容室開業時に必要な初期費用と、事業継続に伴う経費の両方を見積もる必要があります。

 

物件の選定と交渉のポイント

エリアと物件規模の検討

美容室の立地は非常に重要です。最寄り駅からの距離、道路からの視認性、駐車場の有無など、立地条件によって集客力は大きく変わってきます。

一般的に、家賃は駅に近いほど高くなる傾向にあります。しかし、駅近くの物件ほど集客が期待できるため、家賃は高くても採算が取れる可能性があります。

一方、物件の広さも重要なポイントです。美容室には、サロンスペースのほか、シャンプー台や化粧室、スタッフルームなど、一定の空間が必要です。

美容室の想定面積

規模

15〜30坪

小規模

30〜50坪

中規模

50坪以上

大規模

規模が大きすぎると家賃負担が重くなり、小さすぎると業務に支障をきたす恐れがあります。開業資金や想定する規模に応じて、適切な物件の広さを検討する必要があります。

居抜き物件かスケルトン物件か

物件の選定では、居抜き物件とスケルトン物件のどちらを選ぶかが重要なポイントになります。それぞれメリット・デメリットがあるため、状況に合わせて検討する必要があります。

【居抜き物件のメリット・デメリット】

メリット

デメリット

内装工事費が安く済む

設備が古い場合がある

開業時期を早められる

希望の内装でない可能性がある

【スケルトン物件のメリット・デメリット】

メリット

デメリット

設備が新しい

内装工事費が高額になる

内装を選べる

開業時期が遅くなる

このように、居抜き物件は費用を抑えられる半面、物件の設備や内装が折り合いをつける必要があります。一方でスケルトン物件は理想的な条件を実現できますが、費用がかさむというトレードオフがあります。開業予算や希望条件に合わせて、総合的に判断することが肝心です。

賃料水準と条件の確認

開業する物件の賃料水準を確認するには、同一エリアの同規模の物件の賃料相場を把握することが重要です。物件情報サイトなどを活用して、近隣の類似物件の賃料を調べましょう。

近隣の物件の賃料相場を参考に、候補物件の賃料が適正水準かどうかを見極める必要があります。賃料が高すぎると経営を圧迫しますし、逆に安すぎる物件を探していても永遠に物件が見つからない可能性があります。

賃料以外にも、以下の条件を確認することが大切です。

条件

確認すべき事項

契約期間

更新可能か、中途解約が可能か確認する

更新料

更新時の料金を確認する

保証金・敷金

金額や償却条件を確認する

礼金

発生する場合は金額を確認する

仲介手数料

通常は借主負担になる

このように、賃料水準はもちろん、契約条件についても入念にチェックすることが重要です。複数の物件で条件を比較検討し、経営に最適な物件を選ぶようにしましょう。

 

開業資金の調達方法

美容室開業には相当の初期投資が必要となります。開業資金の調達方法としては、主に以下の3つが考えられます。

自己資金

自己資金を活用することで、借入金の返済負担がなく自由度の高い経営ができます。ただし、十分な資金が準備できない場合は別の方法を組み合わせる必要があります。

金融機関からの融資

自己資金だけでは不足する場合は、金融機関から事業資金を借り入れることができます。融資には審査があり、事業計画の的確性などが重視されます。

主な融資制度

融資限度額

日本政策金融公庫(国民事業)

7,200万円

商工中金(新規開業者支援資金)

2,000万円

公的支援制度の活用

自治体や経済産業省など、様々な公的機関で開業支援制度が用意されています。低利子融資や補助金を活用し、初期投資の負担を軽減できます。

複数の調達方法を組み合わせることで、スムーズな開業が可能になります。

 

美容室開業の物件取得費用内訳まとめ

美容室開業の際の物件取得に係る主な費用を改めてまとめます。

費用項目

概要

前払賃料

賃料発生日から当月末までの家賃。1ヶ月分であったり、日割りになったりと発生日によって異なる。

保証金/敷金

契約時に一時金で支払う。賃料の数ヶ月分相当。退去時に返還されるが償却分ある場合もある。

礼金

契約時に一時金で支払う。家主への謝礼金で返金されない。

仲介手数料

不動産会社に支払う手数料。賃料の1ヶ月分が目安。

賃料保証会社への初回保証料

保証会社を利用する場合の保証料。契約後は毎年年間保証料がかかる。

これらの費用は物件や条件によって異なり、総額では開業費用の大半を占めることが多くなります。見積もりを立てて資金計画を立てるとともに、交渉の余地があるかどうか確認することが重要です。

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