美容室やサロンの開業したいけど、『どんな流れで準備をしていけばいいの…?』『一体何から始めたらいいの?』と不安になっている方も多いのではないかと思います。美容室やサロンの開業にあたっては通常、半年以上前から準備をスタートするのがおすすめです。
美容室やサロンを開業するためには、以下9つのステップが必要です。
1.お店作りのパートナーを決める
2.事業計画書を作る
3.資金を調達する
4.物件を探す
5.申込をする
6.契約する
7.店舗を作る
8.営業準備をする
9.保健所へ届ける
という流れがあります。これから1つずつ説明してしていきますので、何から手をつけていけば良いのかしっかりと把握した上で準備、計画を立て、自分のイメージするサロンを形にしていきましょう!
STEP1 パートナーを決める
美容室・サロンを開業する際は、パートナーを決めることが第一歩です。開業には、不動産会社や内装・デザイン業者、美容器具・設備メーカー、材料業者、税理士などの専門家が必要不可欠です。特に、店舗物件の取得には融資が絡んでくるため、不動産会社と内装・デザイン業者と税理士との連携がとても重要になってきます。
そのため、美容室やサロンの出店に関する専門知識と豊富な経験を持っている不動産会社にまずは相談しましょう。事業計画を一緒に作成し共有することで、店舗物件探しから取得、融資、内装・デザイン工事もスムーズになります。
しかし、サロン出店に関する専門知識や経験があまりない不動産会社へ相談してしまうと思わぬトラブルが発生することもあります。最終的な物件決定の時に、『この物件では希望の美容室はできない』『融資が希望額通らなかった』『内装工事見積が遅すぎて融資決定まで時間がかかりすぎてしまい他の申込者に負けた』といった結果になることもよくあります。そのため、美容室やサロンの出店に関する知識や経験の多い不動産会社を選ぶことが大切です。
開業には、事業計画の策定や資金調達、物件探し、申込・契約、店舗作り、営業準備など多くのステップがあります。開業前には、必要な手続きや注意点を確認し、適切なアドバイスを受けることが重要です。
また、開業後には、集客やマーケティング戦略の策定、スタッフの採用や育成、経理や労務管理なども重要な課題です。美容室・サロン経営は、単に技術やセンスだけでなく、経営者としての幅広い知識やスキルが必要となります。
その道のプロから意見を聞くことが大切です。専門知識を持っている業者にわからないことや気になることをどんどん相談しましょう。しかし、業者に任せきりにしてしまうと思わぬトラブルが発生することもあります。最終的な意思決定は自分自身で行い、業者とは積極的にサロンづくりに関わっていく姿勢が大切です。
このように、美容室・サロン開業には、様々なステップや課題があります。開業前後の課題を解決するために、適任のパートナーとの協力や専門家のアドバイスを受けながら、着実に計画を進めていくことが成功の秘訣です。
STEP2 事業計画書を作る
事業計画書の作成は、どんなに小さな美容室やサロンでも必要なステップです。事業計画を考えずにサロンを開業することはできません。
どんなサロンを作るのか?
どのように作るのか?
費用はいくらかかるのか?
どれぐらいの利益がでるのか?
を考えて事業計画書を作ります。
事業計画書は、以下の流れに沿って作成しましょう。
1.コンセプト・メイキング
これからあなたがオープンするサロンが《誰に》《どのような価値》を提供できるかを考えます。
例えば
誰に | どのような価値 |
くせ毛に悩む20代後半から30代前半の女性 | 髪が痛まないサラサラになる縮毛矯正 |
流行に敏感な10代から20代前半の女性 | 髪が痛みにくいブリーチによるトレンドカラー |
似合う自信がなくてショートにできない30~40代女性 | 骨格と髪質から似合うショートを見極めるカット |
コンセプトが明確になるとサロンの方向性が決まり、立地、内装デザイン、メニューなども決まります。
2.収支シミュレーション
理想のサロンを作っても、利益がでなければお店を続けていくことが出来ませんよね?
立地やメニューが決まれば、平均客単価も設定できますので、具体的に売上目標や利益目標を立てていきます。
《売上=平均客単価×席数×回転数×営業日数》
この式に当てはめて、目標の売上を達成するための席数を考えていきます。この席数を確保できる広さとコンセプトやターゲットに見合う立地を考え、想定家賃や人件費といった経費についても考えていきます。
3.初期投資費用を設定
作りたいサロンのイメージが固まったら、お店作りにどれだけのお金をかけることができるかを検討します。この段階では、自己資金などから資金調達の可能性を探り、予算を設定します。
具体的には、
物件取得費用 | 保証金/敷金、礼金、保証会社の初回保証料、前家賃、仲介手数料、火災保険料など |
設備費用 | 内装・デザイン費用、美容器具・設備費用、HP・予約システム・顧客管理システム導入費用など |
仕入費用 | 材料・商材の仕入費用、消耗品の購入費用など |
その他費用 | 販促費、物件契約してからオープンまでの賃料など |
運転資金 | 軌道に乗るまでの運転資金 |
事業計画書を作る
事業計画書の書き方は自由です。
ですが、テンプレートを使うと便利ですので、初めて作成する場合にはぜひテンプレートを使って作成することをおすすめします。例えば、日本政策金融公庫の公式サイトで創業計画書というフォーマットがあるので、こちらを使って作成してみてください。
↑こちらをクリックすると公式サイトが開きます
STEP3 資金を調達する
開業費は、必要な設備や物品の購入費、内装工事費、開業準備費、資金運営など様々な費用がかかります。 これらの費用を業者から見積りを集めて計算し、実際に必要なお金を集めていきます。
主な資金調達の手段は以下の通りです。
親族から借りる
親族や知人から資金を援助していただく。特に、自己資金以外に親からの支援金がある場合は、融資を使用する際にもプラスの影響が大きいです。
日本政策金融公庫から借りる
日本政策金融公庫は、起業・創業のための資金調達や経営の安定・拡大支援を目的としているため、美容室やサロンの開業で最もよく利用されています。創業者への貸し出しに力を入れている金融機関だけあって、開業者にとってのメリットがたくさんあります。
メリット1.金利が低い
固定金利で2~3%くらいが多く、若者や女性の起業を支援しているため、条件によっては1%台になります。
メリット2.無担保・無保証
創業者を積極的に応援していく金融機関ゆえに、個人の借入れでも保証人、担保を不要にしています。
メリット3.入金が早い
民間の金融機関に比べて融資の決定・実行が早く、お店のオープン前に借入れが可能です。
ただし、日本政策金融公庫で借り入れる場合には総費用の1/3程度の自己資金の用意が必要となるケースが多いので、いくらでも希望額を融資してくれる訳ではありません。
制度融資を使う
金融機関・地方自治体・信用保証協会3者が協力して、融資を行う仕組みです。
信用保証協会が保証してくれるので、銀行はお金を貸しやすくなります。自治体が保証協会に保証料を補てん、銀行に利子を補給してくれるので、個人にも低金利で融資を行うことができます。
一方デメリットは、3者が絡む審査のため時間がかかります(日本政策金融公庫よりの時間がかかることが多いです)。また、民間金融機関はサロンの営業許可が下りないと融資実行ができないケースが多いです。
国や自治体が実施する制度融資を活用することで、低金利や無担保での承認を受けられることができます。 制度融資の詳細については、経済産業局や商工会議所、商工会などで確認することができます。
ローン・リースを使う
融資を受けずに、機材や設備をローンやリースで調達することもできます。
「融資」と「ローン(クレジット)」「リース」といった、ビジネスに必要な資金調達方法はありますが、それぞれ異なる特徴があります。ローンやリースは「代わりに譲ってもらう」という形で、クレジット会社やリース会社から資金を借りることで、自分たちで大きな支払いをする必要がなくなります。
1.ローン(クレジット)
ローン(クレジット)とは、クレジット会社が代わりに設備や物件の料金を先に支払い、その代金を後日クレジット会社へ清算(分割で支払い)する方法です。契約期間が終了すると、所有権は利用者側へ移ります。 支払回数や月々の支払額は、契約金額を考慮して決められます。
2.リース
リースとは、リース会社が設備や物件を購入し、それを利用者に一定期間賃貸する方法です。 利用者は毎月一定額の料金をリース会社へ支払い、契約期間が終了すると、設備や物件を返すか、再契約を結ぶことになります。契約期間終了後は、リース会社が所有権を持ちます。 リース期間は対象の物件や設備の耐用年数によって決められます。
店舗リース
店舗リースとは、マスターリースする会社に店舗自体を作ってもらい、物件を取得し店舗を作るのにかかった費用をリース料という形で月々支払っていく資金調達方法です。
マスターリースする会社が、
1.物件を契約して
2.内装工事を行い
3.設備や備品を買い揃え
サロン営業できる状態まで店舗を作ります。その店舗をサロン開業者に貸出(リース)して、運営してもらいます。サロン開業者は月々の賃料などを含めてリース料を支払います。
費用のほとんどをリースすることになるので、初期投資額は大幅に減らすことができます。
この方法の注意点は、物件の契約者と実際のサロン運営者が違うため、あらかじめ店舗物件の賃貸借契約の際に貸主の承諾が必要となります。
STEP4 物件を探す
ここまで準備してようやく物件探しを始めます。物件を決めてから融資の準備を始めるのでは遅すぎます。
物件探しで一番重要なことはスピード。
《良い物件》はみんなが狙っています。早いもの勝ちです。そのために、希望条件に当てはまる物件情報がでたらすぐ内見する。気に入ったらすぐ申込を入れる。すぐに内装業者の現場調査を入れる。すぐに契約を確定させる。
これを早くできた人だけが《良い物件》を手に入れることができるのです。
とにかくスピードが命。
STEP5 申込をする
物件が決めたらまず物件の入居申込をします。同時に、必要書類(物件概要書や内装工事見積書)を用意して融資の申込も行います。
STEP6 契約をする
店舗作りに関わる契約は主にこの4つです。
1. 融資契約
借入額、返済期間、利息、据置期間、月々の返済金額、支払日、支払方法などを契約で取り決めます。
2. 物件賃貸借契約
契約日、契約期間、保証金/敷金・礼金、保証会社の保証内容や保証料、禁止事項、解約の条件、賃料の支払日・支払方法、原状回復などを契約で取り決めます。
3. 内装工事契約
工事費用、レイアウト、仕様、工期、工事の開始日、支払期日、引渡予定日などを契約で取り決めます。
特に、内装工事契約の前に必ず管轄の保健所への事前相談にいきましょう。
4.店舗賠償保険
賠償内容、賠償金額、保険期間、保険金額などを契約で取り決めます。貸主指定の保険があったり、サロン側が自由に選べたりします。
取引には基本的に契約がつきものです。他にも、顧客管理システム会社との契約、材料業者との契約、あるいは一緒に働く人との雇用契約、税理士との顧問契約、様々な契約があります。契約内容は契約日までにしっかりと確認・精査して締結しましょう。
STEP7 店舗を作る
物件を契約し鍵を受領したら、次は店舗を作っていきます。
1. インフラ関係の申込
電気・ガス・水道はサロンオーナーが直接申込みます。特に電気や水道は工事中から必要になるので、工事開始日を確認して忘れずに開栓の手続きをしましょう。
また、電話回線やインターネットなどの開通も忘れずに。開通工事までに時間がかかる可能性があるので、早めに工事日程をおさえましょう。
2. 内装工事
養生・解体工事から始まり、大工工事、電気やガス工事、塗装工事、クリーニング、引き渡しまで内装業者が主体で進めます。消防法の届出と検査に立ち会ってくれる場合もあります。
3. サロンに必要な器具・設備の設置
内装スケジュールに従って購入、搬入の手続きを行います。在庫、納期の確認をして確実に期日に取り付けられるように工事業者やメーカーと調整していきます。
STEP8 営業準備をする
美容室やサロンは《店舗を作る》というハード面だけではありません。サロンを営業するためにソフト面の準備も必要です。そのため下記の準備も行います。
1.販促物・ホームページの作成
2.予約システム
3.材料・商材の仕入れ、備品・消耗品の購入
4.レジ設置、キャッシュレス決済の導入
5.顧客管理システムの導入
STEP9 保健所へ届ける
理美容業は保健所への届出、および確認検査を受けることが必要です。
1.開設届の提出(営業開始の1週間前まで)
必要書類を準備して保健所へ提出します。書類提出時に開設検査手数料を納め、開設検査(立入検査)日時を調整します。
2.開設検査(立入検査)
開設検査日時に保健所の職員による立入検査が実施されます。確認検査は提出書類をもとに構造や設備について行われます。
3.確認書発行(開設検査の翌日~営業開始日まで)
開設検査で基準を満たすと確認書が発行されます。連絡が入ったら受領印を持って受け取りにいきましょう。
美容室・サロン開業で一番大切なこと
長かったですね!これでやっと美容室・サロンを開業することができます。
ですが、これを全部ひとりでやりきるのはとても大変です。そのために、一番大切な『パートナーを決める』というSTEPを最初にすることで、この流れがとてもスムーズになりますよ。
だれをパートナーを選んだか?
そこで、あなたのサロン作りの結果も変わってきますよ!
美容室・サロン開業の相談
美容室・サロン開業について悩んだり不安な方は、ぜひサロン出店の専門家に相談してみませんか?